第3回 TMPU リトリート 大学院生中間発表会
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2026年2月13日(金)に本学で第3回 TMPU リトリート 大学院生中間発表会が開催されました。本教室からは博士課程3年の工藤さんが「出芽酵母スフィンゴ糖脂質合成におけるカルシウムチャネルCsg2の役割」というタイトルで発表しました。医学研究科なので、基礎医学研究だけでなく、臨床研究、疫学研究など様々な領域の先生方が発表され、大変興味深いもので、活発な議論がなされました。

我々の興味はゴルジ体という細胞小器官での糖鎖合成です。この糖鎖合成は細胞の中での反応なので、酵素(タンパク質)がその反応を起こす(触媒する)わけですが、試験管の中での反応とは異なり、細胞の中では酵素と反応するもの(基質)が単純に存在すれば反応が進むわけではありません。ゴルジ体というダイナミックに変化し続ける反応の場に酵素と基質がそれぞれ違うタイミングで運ばれ、効率よくお互いに出会い、順序よく反応を進めているわけです(きっとそう)。
各反応に関わる酵素、反応するもの(基質)、反応でできるもの(生成物)、反応の場所、そして、反応をおそらく制御しているだろうタンパク質などがわかっているものの、実際に細胞の中で起こっていることはまだまだよくわからなことの方が多い、というのが現状です。
工藤さんの発見は、出芽酵母の『スフィンゴ糖脂質(正確には複合型スフィンゴ脂質)MIPC合成』と『Csg2によるゴルジ体に取り込まれたカルシウムイオンの排出』が協調して起こっている可能性を示唆するものです。質問として、「Csg2のカルシウムチャネルとしての構造的特徴は?」などが上がりましたが、それに関してはまだまだ議論の最中です。Csg2は10回膜貫通型の膜タンパク質で、典型的な多量体形成を介してポア(カルシウムイオンが通る道)を形成するカルシウムチャネルではないと構造予測からは考えられていますが、単独でポアを形成することも難しいようです。電依存性などを示すようなデータも示されておらず、カルシウムイオン透過活性を持つ新規膜タンパク質というのが今の位置付けです。まだまだ謎が深いです。



